| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-109 (Poster presentation)
サンゴ礁生態系の景観形成種である有藻性イシサンゴ類(以下、サンゴ)は、体内に渦鞭毛藻の仲間である褐虫藻を住まわせることで、相利共生関係を築いている。この共生関係は、高温ストレスなどの環境変化によって崩壊し、大規模な白化現象が引き起こされることでも有名である。2016年にも、世界各地で大規模な白化現象が生じ、サンゴ礁生態系に大きな影響を及ぼした。今回我々は、2016年の白化前後に、琉球列島で広く見られるコユビミドリイシを対象に、琉球大学瀬底研究施設前の個体群の白化モニタリングを行った。その結果、高温ストレス耐性において顕著な種内変異が見られた。この種内変異は、ホストであるサンゴ自身あるいは共生藻に起因するものと考えられるが、詳細は明らかではない。そこで我々は、MiSeqによる褐虫藻のメタバーコーディング解析を行い、白化前後での褐虫藻組成の変化について調べた。また、コユビミドリイシは琉球列島南北に沿って広く分布しているので、最北限の個体群のサンプルも含めて、褐虫藻組成の地理的変異についても同時に調べた。これらの結果を踏まえ、コユビミドリイシにおける褐虫藻組成の種内変異と環境応答の概要について議論する。