| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-117 (Poster presentation)
日本の郷土食とそれに用いられる食材は各地の気候風土と人との歴史的な関わりの中で育まれてきた。特に食料の流通が限られていた時代において、農山漁村では田畑だけでなく、山野や河川、湖沼、沿岸域など周辺の多様な生態系が食材の供給源として利用されてきた。生態系から得られる各種食材は日々の活動に必要なカロリーだけでなく、ミネラルやビタミンなど多様な栄養素の摂取に欠かせないものであったと考えられる。
本研究では食を介した伝統的な生態系の利用を明らかにすることを目的に、1930年頃の全国各地の郷土食を記録した「日本の食生活全集」(農文協1984−1992)に掲載されている日常食を対象に、利用されている食材(品種を含む生物種)と供給元の生態系を調べ、さらに栄養面での生態系の寄与を評価するために日本食品標準成分表から食材ごとの各種栄養素の含有量を参照した。日本全国および各地点の景観タイプや季節などに着目して生態系ごとに供給される栄養素の特徴を解析することで、多様な栄養素を周辺の生態系から昔の人々がどのように確保していたのか明らかにする。