| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
シンポジウム S19-1 (Presentation in Symposium)
生態学・進化学に機械学習はどのように必要になるだろうか?機械学習 (Machine Learning, ML)とは、1959年にアーサー・サミュエルにより「明示的にプログラムしなくても学習する能力をコンピュータに与える研究分野」と定義されている。静的なプログラミングや数式にしたがったモデルとは異なり(data modeling culture)、データにもとづいて、動的なアルゴリズムを訓練するコンピュータ科学の技術・手法(algorithmic modeling culture)である(Thessen 2016)。これまでの統計学では、データに合いそうなモデルを当てはめ、そのパラメータを推定することで、推定、予測、検定を行うものであった。それに対して、MLでは、予測精度の高いアルゴリズムをデータから学習するというものである。MLは、これまでの統計的手法を用いているが、予測技術の考え方は異なるものである。機械学習の手法により、生態学や環境学では、種の分布モデル予測、種同定、衛星画像からのデータ抽出、音声解析、生物の多様性や気候変動予測、ゲノムからのデモグラフィー推定、自然選択の検出、ゲノム診断など、様々な技術的応用が試みられている。しかし、MLの予測手法の考え方は、生態学や進化学にどのように今後必要になっていくのであろうか?本講演では、機械学習、深層学習、AIについての簡単な紹介をすると同時に、機械学習の手法の考え方が、今後の生態学や進化学での問題解決にどのように影響を与えるのかを考察したい。