| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


企画集会 T14-1  (Presentation in Organized Session)

性形質の種内多型とその創出機構

*岡田泰和(東大・院・総合文化), 香月雅子(東大・院・総合文化), 大塚宏樹(東大・院・総合文化), 太田邦史(東大・院・総合文化), 小澤高嶺(東大・院・総合文化), 岡田賢祐(岡山大・院・環境生命)

性選択は,顕著な性的二型や装飾形質を進化させ,形態・生態の多様性をもたらしている.とりわけ甲虫にはオスだけが発達した角や大顎を武器として備える種が多く,雌雄差のみならずオス内にも武器サイズの変異が存在し,形態の多様性の仕組みに迫る格好の材料となっている.近年の生理学・分子遺伝学的研究は,雌雄や異なる形態を示すオスであっても,その形態をつくる発生プログラムはいずれの個体にも存在することを支持しており,性や栄養条件によって”ゲノム情報を柔軟に読み出すしくみ”,が多様化の鍵となりそうだ.発表では,栄養条件に依存してオスの武器が発達する仕組みについて,おもにオオツノコクヌストモドキ(Gnatocerus cornutus)の事例をもとに,インスリン経路など栄養応答因子の挙動と機能について結果を紹介する.また,エピゲノム制御によるゲノム情報の読み出しが,オス内多型・性的二型をもたらす事例を紹介し,栄養条件や性の情報とエピゲノム機構が協調して,形態の多様性をもたらす可能性について,展望を述べる.


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