| 要旨トップ | ESJ65 自由集会 一覧 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


自由集会 W01  3月14日 16:00-18:00 A会場

画像認識・分類技術の生態学への応用と課題 ~特に機械学習,深層学習を中心に

山北剛久(JAMSTEC)、岩崎亘典(農環研)、古川泰人(酪農大)

 動植物を識別することや、数を数えること、量やサイズを測ることは、生態系や生物の動態を把握する上で最も基本的な技術である。近年、畳み込みニューラルネットワークを応用した深層学習や強化学習を組み合わせにより、画像認識が容易かつ高精度になり、物体の自動認識に活用されはじめている。講演では、こうした技術の基本的な概念の概説と、生物分布密度の推定への応用例、分類群や個体の特定の可能性、地図や植生図の自動作成の例はじめとする事例を紹介する。従来の調査等が容易になることや、大量のデータが得られることで、さらに、どのような研究展開が期待できるか、議論したい。

 また、このような自動認識のためには教師データの準備が欠かせない。深層学習をもちいた機械学習手法を適用するためには、従来型の機械学習よりも多くの教師データの数が必要とされる。比較的自由に利用できる画像データセットは少ないが、大規模なもののうちImageNetを例に挙げると2017年5月時点で1419万枚の画像が登録され、21841の名詞に対応するラベルが付与されている。鳥で856、魚で566、植物で1666、木で993のサブカテゴリーが用意されており平均400枚以上の画像がサブカテゴリーにあるが、カテゴリーは種や機能群と対応しておらず、マイナーな生物は画像の数も少ない。一方で植生図や土地利用などの地図作成のための画像解析において、教師データに用いる地図は情報が公的に整備されているものも多いが、ライセンスなどの課題もがあることもある。こうした情報のデータベース化や教師データとするための準備、利用促進などの現状と課題についても議論したい。

集会の情報はhttp://zostera.web.fc2.com/ESJ65.htmlに掲載する。

[W01-1] コメンテーター (大澤剛士、他を予定)


日本生態学会