| 要旨トップ | ESJ65 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
自由集会 W11 3月14日 18:15-20:15 B会場
これまで、多くの生物種について体サイズや成長パターン、産卵期などの生活史形質に地理的な変異がみられることが報告されてきた。一般に、これらの変異の多くは直接的、あるいは間接的に温度などの経験環境の影響を受けるため、緯度に沿った連続的な変異(緯度クライン)を示す。内温動物では、寒冷地ほど成熟サイズが大型化するというBergmann則が有名だが、外温動物の中にはBergmann則に反した傾向を示す種も多い。さらに、外温動物ではより多くの生活史形質が地理的に変異することが知られている。例えば、緯度に着目すると、高緯度ほど年間世代数が多い(昆虫類)、外殻が薄い(腹足類)ことや、成長速度が高い(魚類)ことが報告されており、環境勾配に対する適応様式は多岐に渡っている。生物のもつ複雑な環境適応様式を調べることは生活史の進化生態学的な背景を明らかにするだけでなく、近年の気候変動に対する生物群の反応を予測する上でも重要である。そこで本集会では、多様な生物種における生活史形質の地理的変異を概観し、その多様性や適応的意義、さらに今後の研究の発展性について議論したい。
[W11-1] 昆虫類の緯度クライン研究の流れと今後の課題
[W11-2] 海産腹足類の貝殻形質に見られる緯度クライン
[W11-3] メダカの緯度クラインの研究:生活史から種分化へ