| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(口頭発表) A03-04  (Oral presentation)

ゴミグモ類に寄生するクモヒメバチ3種が作らせた操作網の力学的プロパティの収斂
Orb-web manipulation of trash-line spiders by three congeneric spider-ectoparasitoids requires same degree of thread reinforcement

*髙須賀圭三(慶應義塾大学, 神戸大学, 学振特別研究員), 原口岳(総合地球環境学研究所, 学振特別研究員), 安井知己(神戸大学), 前藤薫(神戸大学)
*Keizo TAKASUKA(Keio Univ., Kobe Univ., JSPS Research Fellow), Takashi F Haragushi(RIHN, JSPS Research Fellow), Tomoki Yasui(Kobe Univ.), Kaoru Maeto(Kobe Univ.)

ゴミグモに寄生するハチはコブクモヒメバチおよびマスモトクモヒメバチの2種、ギンメッキゴミグモに寄生するハチはニールセンクモヒメバチが存在し、クモ・ハチ共にそれぞれ同属である。3種のハチすべてで、寄生の終期にクモの行動を操作し網を変形させる網操作を行うことが知られている。網操作によって作り出された網は『操作網』と呼ばれ、クモを殺した後のハチの蛹期の安全を担保するレフュージとしての機能を果たす。演者らは引張試験機による材料力学的試験を用い、(1)ゴミグモ円網、(2)ギンメッキゴミグモ円網、(3)コブクモヒメバチ操作網、(4)マスモトクモヒメバチ操作網、(5)ニールセンクモヒメバチ操作網の破断強度を定量的に評価し比較した。その結果、(2)ギンメッキ<(1)ゴミ<(3)コブクモ≒(4)マスモト≒(5)ニールセンという関係が見出され、オリジナルの円網の時点では強度に種間差があるにもかかわらず、操作網として要求される強度は同程度であることがわかった。クモを殺した後、羽化までの期間に種間差は見られなかったことから、この要求強度の収束が説明できると考えている。


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