| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(口頭発表) D03-06 (Oral presentation)
北米東部には、約50種のQuercusが分布している。その中9種が常緑、3種が半常緑、39種が落葉樹種である。ケベックからフロリダまでの約3000kmで調査された植生調査資料では、これらの内21種が出現している。北米のブナは、Fagus grandifolia1種である。北米東部のナラ-ブナ林についての森林分類は、奥田1994による地域的比較が示されているだけで、広域的特性が明らかにされていない。1988-1990年に得られた北米東部のブナーナラ林の植生調査資料を再検討した結果、1. 北米のナラ林は、3型が認められた。a) 河辺林型の半常緑性のQ. laurifolia林として生育する落葉ナラ林(Q. phellos林を含む)、b)南部のピートモントからニューヨークまで分布するナラーヒッコリー林(日本のコナラ林に対応するQ. nigra林を含む)、c) ナラ-ヒッコリー林の種を欠く北方ナラ林が大きく区分された。2. 北米のブナ林も3型がみとめられた: 南部海岸平野型、アパラチアン山地型、TsugaやTaxusを持った北方林分が区分された。日本列島やヨーロッパのブナは2種が気候および垂直分布的に棲み分けるが、アメリカのブナは1種で対応しているようである。北米の気候は日本のような多積雪地がなく、また中国のような極端な乾燥気候地もない比較的単調な気候であるため、気候の変化に対応した森林タイプの変化が徐々に見られる。