| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(口頭発表) F03-01  (Oral presentation)

三重県における生態系サービスの地図化
Mapping of Ecosystem Services in Mie prefecture

*山本真人, 大野研(三重大学)
*Makoto YAMAMOTO, Ken ONO(Mie Univ.)

三重県は、県内における人口や経済力等の地域間格差が問題となっている。一般的には過疎地域の振興のための施策として、道路建設が挙げられている。一方で、三重県において生態系サービスを観点に入れた解析は少ない。演者らは、三重県における生態系サービスについて,地域ごとの課題を探すため、複数の指標を用いてGISを用いて地図化を行った。供給サービス、調整サービス、文化的サービスごとに地図化した。供給サービスに関しては、農林水産省が発行している農林業センサスにおける耕地率50%以上の農業集落数、調整サービスに関しては、国土交通省が行っている水害統計調査、文化的サービスに関しては、三重県が公表している観光客数と宗教法人、加えて、三重県内の遊漁船業者の営業所のデータを使用した。これらの指標は、JSSAおよびMAESプロジェクトにおいて挙げられた指標に基づいている。データは市町ごとや県単位のものが多数を占めたが、市町ごとでも地域間格差の状況を表しているとは言い難い。そのため、データを按分し、表示した。農業集落数は、昭和25年における市町村ごとのデータであったため、それを使用した。水害統計調査と宗教法人数に関しては、人口を、観光客数に関しては、国勢調査の産業(大分類及び従業上の地位別就業者数)を基に町丁・字等別境界ごとに按分した。三重県内の遊漁船業者の営業所に関しては、それぞれの営業所の位置情報が得られたため、それらを表示した。その結果、供給サービスとしての農業集落数は、北部の海岸部および伊賀地方に多いことが分かった。調整サービスとしての水害統計調査に関しては、サービスの低い地域が中南部に集中していた。文化的サービスとしての観光客数に関しては、特に海岸に近い地域と伊賀地方において多かった。宗教法人数に関しては、高いところが分散していた。これらは三重県内における生態系サービスを考慮に入れた政策を考えるための一つの材料を与える。


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