| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(口頭発表) G01-04  (Oral presentation)

砺波平野の屋敷林の配置と生態的な意義に関する研究
A Study on the Configuration and Ecological Significance of Premises Forest in Tonami Plain

*王聞(京都大学), 深町加津枝(京都大学), 奥敬一(富山大学), 新藤正夫(砺波散村地域研究所)
*Wen WANG(Kyoto Univ.), Katsue Fukamachi(Kyoto Univ.), Hirokazu Oku(Univ. of Toyama), Masao Shindo(RIX Villages in Tonami Plain)

富山県西部に位置する砺波平野には、一面に広がる水田の中に、散居と呼ばれる屋敷林に囲まれた住宅が点在する散村景観が見られる。この屋敷林は、防災や微気候の改善、燃料・建築材の確保などの機能を果たし、散村の生活・環境・景観面からも重要な要素と位置付けられている。しかしながら、昭和30年代後半からの屋敷林減少により、散村景観が失われつつある。本研究では、屋敷林の配置の特徴と生物多様性の維持との関係について考察することを目的とする。本研究では、屋敷林の形態が異なる特徴を持つ6軒の家屋を対象とし、毎木調査や植生調査を行い、植物相を把握した上で、その空間的な配置を明らかにした。その結果、調査対象とする家屋で出現した植物群にはその地域の潜在植生の要素が含まれていることが分かった。また、異なる屋敷林の配置が存在しており、伝統的な屋敷林を含め多様な構成要素および階層構造を継承することが、多様な生息環境の提供につながると考えられた。屋敷林を保全し、地域の景観、生物多様性などの価値を継承、創造する上では、多様な形態を含めた屋敷林の再構築を目指すことが望まれる。


日本生態学会