| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(口頭発表) L02-01 (Oral presentation)
「リンゴ」と聞くと赤くて丸い果物を思い浮かべるように、単語からその指示対象をイメージする能力はヒトの会話に欠かせない。しかし、このような認知能力がヒト以外の動物のコミュニケーションにおいても進化しているのかは明らかでない。音声コミュニケーションが発達しているシジュウカラは、ヘビに遭遇すると特異な鳴き声を発して追い払いにかかる。本研究では、この音声が聞き手のシジュウカラにヘビ状の物体への視覚的注意を喚起することを実験的に確かめた。ヘビ特異的な警戒声をスピーカーから再生し、小枝をヘビのように動かして提示すると、シジュウカラはそれに接近した。一方、他の音声を再生した実験や小枝の動きがヘビに似ていない実験では接近反応はみられなかった。これらの結果から、シジュウカラは、実際にヘビを視認する前であっても、ヘビ特異的な警戒声からヘビの視覚イメージを想起し、探索に役立てたと考えられる。