| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-016  (Poster presentation)

印旛沼周辺地域におけるカミツキガメ(Chelydra serpentina)有殻卵保持個体の特徴 【B】
Physical features of egg retaining Snapping turtles(Chelydra serpentina) 【B】

*笹原まりな(日大院生物資源), 福澤めぐみ(日大生物資源)
*Marina Sasahara(Graduate School,Nihon Univ.), Megumi Fukuzawa(Nihon Univ.)

 特定外来生物に指定されているカミツキガメ(Chelydra serpentina)は地域特有の生物相に影響を与えるだけでなく、陸上では人への攻撃的行動により重傷を負わせる危険性がある。環境省は印旛沼流域においてカミツキガメ防除推進調査を実施、印旛沼水系においてワナ密度1個/50mで設置し、継続した捕獲作業を行なっている。また、千葉県防除事業では、印旛沼水系だけでなく鹿島川水系で集中捕獲を実施し、地域的根絶を目指している。カミツキガメは甲長175mmを超えるメスが産卵すると報告されている。効率的にカミツキガメ個体数を低密度にするためには、繁殖を阻止する必要がある。また、メス個体数をコントロールすることができれば、個体数の減少につながる。しかし、性識別記録が残されていない捕獲(収容)個体が多いことから、印旛沼周辺地域におけるカミツキガメ基礎情報として、2018年3月から6月にかけて千葉県防除事業で捕獲されたメス26個体に焦点をあてデータ(甲長、甲幅、体重、年輪、体内有殻卵数)を収集した。
 平均甲長は224.9±36.01mm、甲幅191.08±30.35mm、体重2.88±1.52kg、年輪5重以下が4体、6重以上が22体だった。なお、26体中18体が有殻卵を保持しており、これら18体の平均甲長は236.49±34.19mm、甲幅200.66±28.22mm、体重3.32±1.56kg、年輪5重以下が2体、6重以上が16体で平均有殻卵数は31.28±10.53個だった。捕獲場所は、印旛沼ならびに鹿島川流域の白井市、印西市、佐倉市、四街道市、酒々井町と広範囲であったが、佐倉市飯重地域での捕獲数が多く(9個体)、そのうち有殻卵保持個体数も多かった(7個体)。また、捕獲日記録から5月上旬から6月1日までに捕獲された個体に有殻卵保持個体が集中していた。


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