| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-022  (Poster presentation)

ニューラルネットワークによるA. carolinensisの検出:外来種の効率的管理手法の考察
Detection of Anolis carolinensis with Deep Neural Network: Effective tools for controlling invasive species

*青田智来(東北大学), 芦澤航(自然環境研究センター), 森英章(自然環境研究センター), 千葉聡(東北大学)
*Tomoki AOTA(Tohoku University), Ashizawa Kou(Japan Wildlife Research Center), Mori Hideaki(Japan Wildlife Research Center), Chiba Satoshi(Tohoku University)

 小笠原諸島は日本の本州から約1,000km南に位置する海洋島であり、多くの固有種が存在する。一方で外来生物の侵入による固有の生態系への影響は大きく、その中でも特に近年のグリーンアノール Anolis carolinensis の侵入は小笠原諸島の固有昆虫の生態系を大きく脅かすものであり、その保全に向けた取り組みが喫緊の課題となっている。
 小笠原諸島の固有昆虫の保全と適切な外来種管理の為には、小笠原諸島に侵入したA. carolinensisの侵入範囲と密度を正確に調査するシステムが必要である。しかし、A. carolinensisの樹上性という生活様式や体色を変化させるという特性が人力での調査を難しくしている。
 そこで本研究ではニューラルネットワークの物体検出技術を用いて効率的にA. carolinensisの発見と密度調査を行う為のシステムを構築した。ニューラルネットワークを用いた物体検出に関する研究は盛んに行われており、近年非常に高い検出精度を達成している。その中でも本研究ではSSD(Single Shot Multibox Detector)という手法を参考に実装を行なった。学習データとしてドローンから撮影された空中写真を用いて学習を行い、樹上のA. carolinensisを検出するネットワークを作成した。
 本研究では、小笠原諸島における侵略的外来種A. carolinensisの効率的な管理手法としてのニューラルネットワークによるA. carolinensis検出の精度評価とA. carolinensisのような極小かつ背景と同系統の体色を持つ物体を検出する場合に適した構造について考察を行う。


日本生態学会