| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-035  (Poster presentation)

高知県中部における準草原生植物の多様性
Diversity distributions of quasi-grassland species in central Kochi

*大利卓海(高知大・院・理), 比嘉基紀(高知大・理), 石川愼吾(高知大・理)
*Takumi Ori takumi Ori(Sci., Grad. Kochi Univ.), Motoki Higa(Fac. Sci., Kochi Univ.), Shingo Ishikawa(Fac. Sci., Kochi Univ.)

畦畔周辺の草本は、半自然草地を生育地とする草原生植物、過湿土壌を好む湿性植物、路傍雑草、さらに中庸な環境である林縁や適潤な場所を好む種群(準草原生植物と呼ぶ)に分けられる。農業の近代化に伴う土地改変は、草原生植物のハビタットの減少を介して地域のα多様性を低下させている可能性がある。その一方で、土地改変が準草原生植物の地域の多様性へ及ぼす影響は明らかになっていない。本研究ではライントランセクト法を用いて高知県中部の農地景観が卓越し土地改変の程度の異なる8地域を対象に、出現する種をチェックリストで調査した。多様性が高かった相川を基準とした出現回数と、地域ごとの種順位曲線を比較した。準草原生植物の種順位曲線は多様性の高い地域から低い地域まで傾きを平行移動させながら、種数を減少させていた。草原生植物の種順位曲線は多様性の低い地域で傾きが途中で大きくなっていた。相川と他の地域で行った出現回数の比較では、準草原生植物のうちオオジシバリやヤブジラミなどは草原生植物の多様性が低い地域でより多く出現しており、同じく準草原生植物のアキノタムラソウやコアカソなどは草原生植物の多様性が高い地域でより多く出現していた。以上のようなことから準草原生植物は土地改変の影響の程度が強い平地と土地改変の影響を受けにくい山地のそれぞれで出現する種を変化させながらγ多様性を低下させていくことが明らかになった。


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