| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-057  (Poster presentation)

ドロバチ-寄生者関係の広域的空間分布:兵庫県における竹筒トラップ調査
Regional distribution of eumenid host-parasite associations revealed by bamboo trap-nest technique in Hyogo prefecture

*辻井美咲(神戸女学院大学大学院), 西本裕(宝塚市), 槇岡睦美(神戸女学院大学), 千原瞳(神戸女学院大学), 遠藤知二(神戸女学院大学)
*Misaki TSUJII(Kobe College Graduate School), Yutaka Nishimoto(Takarazuka City), Mutsumi Makioka(Kobe College), Hitomi Chihara(Kobe College), Tomoji Endo(Kobe College)

竹筒トラップ(トラップネスト)を用いた調査では、営巣するハチだけでなく、その捕食寄生者との相互作用を広域的に明らかにすることが可能になる。本研究では、竹筒トラップ調査の最普通種の1つであるオオフタオビドロバチと近縁種オデコフタオビドロバチの2種をホストとして、それらのドロバチと寄生者間の相互作用が広い空間スケールの中でどのような変異を示すのか、またどのような要因がそれらに影響を及ぼすかについて検討する。
竹筒トラップ調査は、兵庫県全域を376区画(2次メッシュを4等分、約5×5km)に分割し、1区画につき1か所の森林域を調査地として任意に抽出して2002年から2009年にかけて行った。8年間の調査で回収されたフタオビドロバチ属の巣は274地点から4916巣、このうち、オオフタオビドロバチは260地点から3148巣(8682育室)、オデコフタオビドロバチは26地点から558巣(2051育室)得られた。これらのうち、オオフタオビドロバチでは188地点945育室(10.9%)、オデコフタオビドロバチでは16地点71育室(3.5%)が捕食寄生者に攻撃を受けていた。ノミバエの1種、ドロバチヤドリニクバエ、ムモンオオハナノミが主要な共通の寄生者で、その寄生率はオオフタオビドロバチでそれぞれ2.0%、1.9%、0.9%、オデコフタオビドロバチでそれぞれ2.5%、0.5%、0.1%だった。もっとも大きな違いは、オオフタオビドロバチではスズバチネジレバネの寄生率は5.7%と高い値を示したのに対し、オデコフタオビドロバチでは寄生がみられなかった点である。
本研究では、ドロバチ2種の個体数(育室数)を応答変数、景観レベル(半径400m圏内の植生タイプなど)と地理レベル(標高など)の変数を説明変数として解析し、また捕食寄生者の種数と個体数が、景観、地理レベルの変数に加えてホスト(潜在的なホストを含む)の種数、育室数にどのような影響を受けているのかを検討する。


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