| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-058 (Poster presentation)
都市の自然は人に対して健康面や精神面などの様々な面で影響を与えうるリソースとして認知されてきており、人々の行動と自然環境の間の関係を利用することで、より好ましい都市をデザイン出来ると考えられる。本研究では、現代の主要な屋外活動の一つである、犬の散歩と緑地環境の関係性を調査し、人が犬の散歩ルートを選択する場合に自然環境は影響するのか、どのような自然環境が好まれるのかを調査した。
神奈川県内の都市から農村地域に至る景観傾度において、市街地と緑地環境の両方を含む8か所で9探索ルート(探索ルート長は平均2.66km±1.21km,のべ探索距離 192.2km)を設定した。野外調査では探索ルート上を繰り返し歩き犬の散歩をしている人を発見した地点を地図上に記録するとともに,散歩者にアンケートを行って普段の散歩ルートを地図上に記入していただいた。
このアンケート結果を利用して,散歩ルートが通過した土地利用(100mバッファー)と、地域全体における土地利用(上記のさらに500mバッファー)を比較し、犬の散歩で好まれる土地利用を明らかにした。地域全体をランダムに通過する場合と比較して、緑地を市街地の何倍多く通過すると散歩ルート上での緑地比と等しくなるか、を求めて緑地の嗜好度とした。市街地の嗜好度を1.0として、それに対する相対的な値としてオープンな緑地と森林の嗜好度を求めた。統計検定では散歩ルートごとに得られた嗜好度の平均値を比較した。
オープンな緑地の嗜好度は3.08、森林の嗜好度は2.03となり、犬の散歩者は市街地より緑地を好む傾向があった。