| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-081 (Poster presentation)
ニホンザルの採食物は葉や果実、昆虫、キノコなど多岐にわたり、その生息地域で特徴が異なることが知られている。採食物に関する研究はサルの採食行動を直接観察するものが多いが、農作物を利用する加害群の採食物の研究は直接観察が困難であるため少ない。高知県室戸市に生息するニホンザルは農作物被害をもたらすことが知られているが、海岸沿いの急峻な地形が多く直接観察が困難であるためニホンザルの採食物に関する研究はない。直接観察が困難な野生動物の食性調査として、一般に糞や胃内容物を用いた調査がなされている。ニホンザルの主要な農作物が多く存在する夏期において高知県室戸市に生息するニホンザル加害群の採食物の特徴を明らかにする事を本研究の目的とした。高知県室戸市で有害鳥獣として駆除されたニホンザル9個体(オス7個体、メス2個体)を対象とし、胃内容物を葉や農作物、昆虫などの11項目に分類した。ポイントフレーム法によってカウントする格子点の総数は1000点とし、各項目の占有率を求めた。出現回数の多かった項目は9個体中8個体から出現した葉と果実であり、次いで昆虫が6個体から出現した。占有率は葉が38.7%と最も高く、次いで果実が33%、農作物が16.6%であった。採食が確認された果実は、ヤマモモやビワ、タブノキなど調査地に多く見られる果実類であった。農作物ではイネの採食が確認され、昆虫ではアリやコガネムシが出現した。