| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-216 (Poster presentation)
進化の過程が決定論的であるか、非決定論的であるのか、進化生物学の分野では長らく議論される問題である。 時間・空間スケールが非常に大きいこの問題に対するアプローチとして、理論的なモデルや、微生物を用いた実験が行われてきた。 これらの研究によって、連続的な適応度の変化を示した適応地形の概念や突然変異率が、表現型の進化の主たる決定要因になりえると言われている。 本研究では、表現型可塑性の影響を取り入れるために、樹状構造を構築する生物モデルを構築した。 このモデルは、遺伝的要素によって基本的な構造を構築し、可塑性によって周囲の状況に応答した樹形を作る。 このモデルを用いて同一の形態から始まる進化シミュレーションを行った。 シミュレーションの結果、突然変異率が高い場合、決定論的なメカニズムが強く作用し、結果間で同一性の高い樹形が生じた。 突然変異率が比較的低い場合において、多様な樹形が出現した。遺伝的な変異率に比して樹形の分散は大きく、初期の偶然が樹形の多様性をもたらす事を示唆している。可塑性とそれに伴う形態変化は、進化の結果生じる多様性に無心できない影響を与えると考えられる。