| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-262  (Poster presentation)

ドローンの空撮画像と深層学習を用いた樹木の識別
Classification of trees using drone pictures and deep learning

*大西信徳, 伊勢武史(京都大学)
*Masanori ONISHI, Takeshi ISE(Kyoto Univ.)

森林に生育する樹木の種類を把握することは森林資源の調査、生物多様性の評価などに重要な意義を持つ。航空機からハイパースペクトルカメラなどを用いた樹木識別は高い精度で数種類の樹種の識別に成功している。しかし一方で、コストが高いこと、下層植生や影の影響を受けること、同属内での識別が困難であることなど課題がある。近年注目されているドローンは低コストで高解像度な画像の撮影ができ、深層学習は形態的な違いに基づくテクスチャーの特徴を学習することが可能である。このドローンと深層学習を用いることで、樹木の形態的特徴を用いてデジタル画像から高精度の樹木タイプ識別が可能であるか検証を行った。
手法ではドローンで撮影した画像をもとに各クラスの教師付き画像を作成した。識別するクラスは落葉・針葉などの樹木タイプと常緑針葉樹の特定の樹種を含む7クラスに分けた。
結果、深層学習は全体で90%以上の精度、各クラスでも高い精度で識別することに成功した。比較として各画像の画素の平均値と標準偏差を用いた機械学習を用いたが、その手法では一部の樹木タイプや樹種の識別が困難であることがわかった。深層学習の識別根拠を可視化したところ、枝先の葉群の輪郭やコントラストを用いていることが判明し、今回の手法を用いることで、形態的な特徴をもとに樹木の識別が可能であることが分かった。続いて、10月上旬から11月中旬にかけて定期的に撮影を行ったデータを用いて、識別精度の時間的なロバスト性の評価を行った。その結果、天候による影響が大きく、加えてフェノロジーや太陽高度などの環境要因が識別精度に影響を与えることが示唆された。この結果を踏まえ、複数日のデータを用いて学習データの時間的なバリエーションを増やして学習を行った結果、時間的なロバスト性が高まることがわかった。


日本生態学会