| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-359 (Poster presentation)
多摩川の河川敷は、
1)10 年に一度程度の洪水という攪乱が卓越している、
2)山地から都市の中まで連続している、
3)一つの断面で、湿潤から乾燥、裸地から樹林、草刈りの有無などの多様な環境があり、すなわち、縦方向の環境の変化が小さく、横方向の変化が大きい、
4)γ多様性が高いものの、α多様性が低くβ多様性が高い
という環境的な特徴を持つ。
既存研究の多くは上記 1)~4)の環境的特徴が河川生物の個体数や群集構造を決定する支配的な要因であることを示しているが、土壌動物、とりわけ多足類の河川敷における研究例は少ない。そこで、本研究では多摩川中流域において、河川敷を代表する 3 つのハビタット(疎林、高茎草原、礫河原)に注目し、ハンドソーティング法により、そこに生息する多足類の在/不在のデータ、また、多足類にとって適した生息環境を明らかにすることを目的とした。
結果として、属数、個体数は多い順に疎林、高茎草原、礫河原の順で、礫河原では多足類は採集されなかった。3 つのハビタットは攪乱頻度、土壌、植生量、リターの堆積量、乾湿などに環境の差異が見られるが、どの環境要因が多足類群集、構成種、個体数に関連深いかについて議論したい。