| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-421 (Poster presentation)
近年、世界的に草原から低木林に生息する多くの鳥類が減少傾向にあり、モズ類も例外ではない。日本ではアカモズやモズ等が繁殖しているが、その中でもアカモズは激減している。富士山麓は数少ないアカモズ繁殖地の一つであり、アカモズとモズがともに生息するが、アカモズの分布は極めて局所的である。両種は種間で排他的ななわばりを形成するとされるため、ニッチの重複があると考えられるが、なぜアカモズのみが局所的な分布を示すのだろうか。
本研究は、アカモズとモズがともに繁殖する区域において、両種の営巣環境と給餌内容を明らかにすることで、富士山麓におけるアカモズの局所分布にかかわる要因を理解することを目的とした。営巣環境は鳥類の繁殖地選択における特性を考慮し、営巣木、営巣場所スケール、行動圏スケールに区分した。その結果、行動圏スケールではアカモズはモズよりも低木林が多く、牧草地が少ない環境を利用し、営巣場所スケールではモズよりも亜高木層の被度がやや高い環境を利用していた。また、モズの営巣環境は、アカモズよりも区域全体の環境と類似する傾向があった。給餌内容については、アカモズはモズよりもハエ目成虫やチョウ目幼虫を多く利用し、モズは様々な昆虫や脊椎動物まで利用した。アカモズがモズよりも利用する給餌品目は、低木林や疎林環境に多い可能性が高い。以上より、富士山麓においてアカモズはモズよりも利用する営巣環境の選択性が高く、局所的な分布を示すと考えられた。