| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-435 (Poster presentation)
森林生態系における物質循環の資源の供給源は葉リターであるが、葉リターは一般に、樹体内に窒素やリンなどの資源を回収された“抜け殻”であり、窒素やリンの含有量は生育期の葉と比べて著しく低い。一方で、花リターに窒素やリンが葉リターよりも多く含まれるという報告もある。そこで、花リターは葉リターに比べて分解者に素早く利用されるのではないかという予測を立て、両者の分解速度を比較した。
岩手県奥羽山脈に位置するカヌマ沢試験地に生育するブナ、サワグルミ、ミズナラ、トチノキを用いて花リターと葉リターのリターバッグを作成し、各樹種の樹冠下に約4か月間設置した。その結果、葉リターでは実験を終了した秋(設置後113日目)の時点で設置時の重量の80 %(ミズナラ)~90 %(トチノキ)が残存していたが、花リターでは、設置後13日目ですでに54 %(ミズナラ)~87 %(ブナ)に重量が減少し、実験終了時には設置後の23 %(ミズナラ)~58 %(ブナ)に減少していた。