| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-481  (Poster presentation)

環境RNAと環境DNAによる魚類の検出感度の比較とその時間変化
Comparison of the sensitivities of environmental DNA and RNA as markers for species detection from water samples and their time dependencies

*中道友規(龍谷大学), 釣建司(龍谷大学), 寺園裕一郎(須磨海浜水族園), 加茂耕太朗(須磨海浜水族園), 石原孝(須磨海浜水族園), 山中裕樹(龍谷大学)
*Tomoki Nakamichi(Ryukoku University), Kenji Tsuri(Ryukoku University), Yuichiro Terazono(Suma Aqualife Park In KOBE), Kotaro Kamo(Suma Aqualife Park In KOBE), Takashi Ishihara(Suma Aqualife Park In KOBE), Hiroki Yamanaka(Ryukoku University)

近年、水中に存在する環境DNAを分析する環境DNAメタバーコーディングを用いた網羅的な種の検出が注目を集めている。直接捕獲をしなくても生息生物の調査が可能で、非侵襲的かつ高感度な検出ができる点が特徴である。しかし、環境DNAは生物個体から水中に放出された後、ある程度の期間は残存することが知られており、水流によってその個体がいる場所から遠くへ輸送される可能性がある。これは、実際にはその場にいない種を検出してしまうという偽陽性の危険があることを意味する。本研究ではこの環境DNA分析の問題点を解決するため、DNAに比べて分解速度が速いとされるRNAに注目した。環境RNAは環境DNAと比べ輸送される距離が短くなると予想されるため、サンプリング場所付近に実際に存在する種のみを、より正確に検出できる可能性がある。一方で、RNAはその発現量によっては、細胞内でDNAより多く存在するという状況も考えらえる。環境RNAを分析した場合でもそのような状況が起こるなら、環境RNAメタバーコーディングでは逆に環境DNA分析で危惧される偽陽性をさらに助長してしまう可能性がある。本研究では、飼育されている魚類相が既知の水族館の飼育水を用い、環境DNAと環境RNAを対象としてメタバーコーディングを実施した。採水後の時間的な分解の影響をとらえるために、24時間後まで経時的に濾過を行って試料を得た。水棲大型生物を対象とした環境RNAメタバーコーティングはこれまでにほとんど報告例がなく、この分析手法についての基礎的知見を得ることを目的とした。結果、24時間後までの濾過サンプルから環境DNA分析では42-34種、環境RNA分析では38-15種が検出された。検出種の組成については両者で大きな違いはなかった。環境DNAと環境RNAで検出された種の組成とその経時的な変化について、さらに詳細な検討を行った結果を報告する。


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