| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-512  (Poster presentation)

科学者としてのバードウォッチャー ー市民科学の参加者と参加動機の傾向ー 【B】
Birdwatchers as  citizen scientists -Classifying contributors and motivations- 【B】

*高田陽(明大院・農), 倉本宣(明大・農)
*Yo TAKADA(Meiji Univ.), Noboru Kuramoto(Meiji.Univ)

市民科学は研究や保全活動、政策提言などに活用され近年注目されている。市民科学において参加者と協力して研究を進めるためのプロジェクト運営は重要な要素である。そのため、市民科学プロジェクトの参加者についての理解は重要である。そこで、本研究では市民参加プロジェクトに参加する市民を対象に、どのような参加者がどのような参加動機で参加しているかの解明を目的とした。本研究では、全国鳥類繁殖分布調査の参加者を対象にアンケート調査と聞き取り調査を実施した。アンケート調査では参加動機や野鳥観察に関する調査を実施した。聞き取り調査では、少人数に対して参加や調査にまつわる行動についての因果関係を調査し、意識構造のモデルを作成した。アンケート調査から、参加動機は外発的動機付け、内発的動機付け、同一化的動機づけの3種類に分類された。また、聞き取り調査の結果から野鳥観察の年数や調査経験の有無によって参加動機に変化があることが推察された。外発的動機付けとは利益を得られることで生ずる参加動機であるが、調査経験が少ないほどこのような見返りが重要である傾向が見られた。一方、調査経験がある参加者は内発的動機付けによる影響が比較的高かった。これは、自身の技術を活かせることに対する意欲であると推察される。参加動機において、参加者全体で共通して見られた傾向は調査研究に対する共感が高いという点である。聞き取り調査から調査目的への共感とは、参加者個人の利益によるものではなく、研究や保全活動によって鳥類が保全されることを望むためであった。このように調査の意義を理解する事で参加していると推察され、同一化的動機付けとした。参加者は自分の利益とプロジェクトの目的の意義の二つの点で参加の判断をしていた。


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