| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-005 (Poster presentation)
ハッカチョウ(Acridotheres cristatellus)は、中国南部から東南アジアに分布するムクドリ科鳥類で、沖縄県以外の日本で見られる個体は、飼い鳥由来の外来生物と考えられる。日本では、1970年代から繁殖記録があるが、2000年代以降、増加傾向にある。
日本でハッカチョウの繁殖が確認されているのは、香川県、兵庫県、大阪府、京都府、神奈川県、東京都である。この内、香川県、兵庫県、大阪府、神奈川県では、現在も複数つがいの繁殖が継続しており、定着していると判断できる。このほかに、愛媛県、滋賀県、千葉県などでも生息・繁殖の可能性があり、詳細情報を探しているところである。
大阪府では、1983年に豊中市で一度繁殖したが定着には至らず、1990年代にはまったく記録がない。2000年代に入って、2003年に高槻市、2005年に大阪市の淀川で繁殖し、定着して現在に至っている。2013年頃より大阪府内での確認例が増え、2014年と2018年に市民参加を呼びかけて、大阪府全域での繁殖分布を調査した。その結果、大阪府内に広く生息地が点在していることが明らかになった。2014年と2018年では、生息地に異動はあるが、点在というパターンはあまり変わっていなかった。
ハッカチョウは、西日本を中心に、この20年ほどの間に分布拡大傾向にあり、今後、今まで繁殖が確認されていなかった県に拡がっていく可能性も高い。市街地周辺で活動し、市民参加で外来生物の定着プロセスを追跡しやすい材料でもある。今後も分布の変化を追跡していきたいと考えている。もしここに述べた以外の情報に心当たりがあれば和田(wadat@mus-nh.city.osaka.jp)までお知らせ頂けると有り難い。