| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-010  (Poster presentation)

逢妻女川と逢妻男川におけるミシシッピアカミミガメの民・産・学・官協働による防除
Controlling red-eared slider turtles through citizens-industry-academia-government partnership at the Aizumame River and the Aizumao River

*浜崎健児(豊田市矢作川研), 山本大輔(豊田市矢作川研), 田村ユカ(名大院・環境), 髙橋洋生(自然研), 矢部隆(愛知学泉大)
*Kenji HAMASAKI(Toyota Yahagi Riv. Inst.), Daisuke Yamamoto(Toyota Yahagi Riv. Inst.), Yuka Tamura(Nagoya Univ.), Hiroo Takahashi(JWRC), Takashi Yabe(Aichi Gakusen Univ.)

豊田市矢作川研究所は環境省「アカミミガメ対策推進プロジェクト」に参画し、2016年より民産学官協働の防除体制づくりを進めてきた。防除体制については2017年に実施した広域一斉防除により有効性を確認できたが、防除効果については防除前後の目視数の比較では評価できなかった。
そこで、2018年は防除効果の評価方法を検討するため、4月に全区間の目視調査を行い2017年の防除前後の調査結果と比較するとともに、プロジェクト以前から防除している継続防除区間で春から秋に2~3回の防除と前後の目視調査を行い、捕獲数と目視数の季節変化を調べた。また、カメ類の種構成とアカミミガメ性比を経年比較して継続防除との関係を考察した。
全区間の目視数は一斉防除前の2017年5月と比べて一斉防除後の同年7~8月には低下したが、2018年4月には防除前よりも多くなった。継続防除区間における目視数は、4月が最も多く、6月に低下して9月以降上昇する傾向を示し、春から秋にかけて大きく変動した。防除しなかった対照区間でも同様の傾向が確認されたことから、全区間での目視数の変化は、防除効果ではなく季節の違いに起因すると考えられた。季節性を考慮し、最も目視数が多い4月で経年比較すれば防除効果を評価できる可能性があると考えられた。
継続防除区間におけるわな当たり捕獲数(CPUE)は、5月が少なく10月に上昇した。そこで、季節毎に男川での3年間のCPUEを経年比較すると、異なる季節でも継続防除により低下する傾向があり、CPUEの経年変化から防除効果を評価できる可能性が示された。
また、防除を6年以上継続している女川では、男川よりもアカミミガメの割合が低く維持され、アカミミガメのメス率は経年で低下する傾向があり、これらは防除効果の指標になる可能性があると考えられた。
今後は、民産学官協働の体制で地域の防除活動を支援しながら、目視数などの項目が防除効果の評価に利用できるか検証していきたい。


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