| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-011  (Poster presentation)

北海道における外来タンポポのクローン多様性
Clonal diversity of exotic dandelion in Hokkaido

*松山周平(酪農学園大), 松永高広(酪農学園大), 齋藤優衣(酪農学園大), 小玉愛子(みちくさ研in苫小牧), 今村彰生(北海道教育大), 伊東明(大阪市立大)
*Shuhei MATSUYAMA(Rakuno Gakuen University), Takahiro Matsunaga(Rakuno Gakuen University), Yui Saito(Rakuno Gakuen University), Aiko Kodama(Tomakomai City Michikusa Inst.), Akio Imamura(Hokkaido Univ. of Education), Akira Itoh(Osaka City University)

日本における外来タンポポは、20世紀はじめに北海道で記録されている。日本に定着した外来タンポポは無融合生殖によって多数のクローンをつくることで分布拡大してきたと考えられてきた。近年、本州ではセイヨウタンポポの一部が在来タンポポとの間に雑種を形成し、定着していることが明らかとなり、雑種化が外来タンポポの分布拡大に寄与している可能性が出てきた。北海道には外来タンポポが広範囲に分布しているが、北海道には二倍体の在来タンポポは少ないことから、無性的につくられたクローンが分布拡大したと考えられる。しかし、北海道におけるセイヨウタンポポの分布拡大過程はよくわかっていない。そこで本研究では、北海道におけるセイヨウタンポポの分布拡大過程を推測するために、道内20箇所以上でみかけセイヨウタンポポの種子を採取し、核ITSによる雑種判別、マイクロサテライト遺伝子型に基づくクローン分析を行い、道内におけるセイヨウタンポポのクローン多様性と類縁関係を分析した。
みかけセイヨウタンポポのうち、雑種は全体の5%に満たなかった。本州に比べて雑種の割合が少なかったのは、北海道では雑種が形成される条件が限られているためと考えられた。また、セイヨウタンポポのクローンは多様であった。マイクロサテライト遺伝子型の多様性はいくぶん過大に評価されているかもしれないが、複数のセイヨウタンポポのクローンが生育していることを示していた。複数の採取地で共通するクローンが生育していたことは、一部のクローンは他のクローンよりも効率よく分散・定着できたことを示唆している。


日本生態学会