| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-019  (Poster presentation)

外来生物探索犬育成の試み~小笠原諸島生息爬虫類の臭気弁別~
Detection dogs for alien species –discriminate between Ogasawara Islands inhabitant reptiles body odours –

*Megumi FUKUZAWA(Nihon Univ.)

イヌは特定の臭気探索における有効なツールの1つである。小笠原諸島では稀有な生態系の保全、小笠原にしか生息しない希少種等に影響を与えることなく外来種の駆除が望まれるため、探索犬の導入は慎重にならざるを得ない。本研究ではジャーマン・シェパード・ドッグ(メス)を対象に、グリーンアノール(Anolis carolinensis)体臭と小笠原諸島生息他爬虫類 - オガサワラトカゲ(Cryptoblepharus boutonii nigropunctatus)、オガサワラヤモリ(Lepidodactylus lugubris)、ホオグロヤモリ(Hemidactylus frenatus)- 体臭を用いた臭気弁別試験を実施した。弁別試験に先立ち、3者択一環境下でグリーンアノール体臭と他爬虫類いずれか1種体臭の臭気弁別訓練(1セッション30試行)を実施した。臭気弁別達成基準は、それぞれの組合わせにおいて1セッション100%の正解率とした。弁別試験はグリーンアノールと他爬虫類3種から2種を提示する組合わせ(パターンA~C、それぞれ30試行)とグリーンアノールを除く爬虫類3種を提示する組合わせ(パターンD、10試行)で構成された。いずれの組み合わせにおいても、グリーンアノールを正解臭気とした。
弁別試験パターンA~C正解率(A 100%、B 97%、C 93%)ならびに、正解時平均探索時間(A 22.34 ± 13.31 s, B 18.36 ± 8.76 s, C 21.04 ± 12.19 s)にパターンの効果は認められなかった。正解臭気の存在しないパターンD正解率は80%だった。パターンA~Cの正解時平均探索時間(21.97 ± 13.03 s)とパターンDの正解時平均探索時間(21.63 ± 9.62 s)に有意な差は認められなかった。これらのことから、イヌは探索対象となる爬虫類の臭気を認識し、正しく選択することができると考えられる。


日本生態学会