| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-039 (Poster presentation)
地球における炭素循環がどのような環境要因によってコントロールされているかを知ることは、とりわけ地球温暖化の主要因である、大気中の二酸化炭素濃度の動態を理解するために重要である。陸域において最大の二酸化炭素吸収源である森林の相対成長速度が数年単位の気候変動に対してどのように応答するのかを明らかにするために、モニタリングサイト1000の毎木データを用い、北海道から沖縄まで19か所の森林を対象として、気候変動に対してどのように森林の相対成長速度が変化するのかを樹木を3つの生活形(落葉広葉樹、常緑広葉樹、落葉針葉樹)に分類し解析した。相対成長速度、年ごとの地上部バイオマスの増減に最も大きな影響を与えていたのは、光合成量に直接影響を与える気温や降雨量ではなく、偶然性の高い事象である、樹木の死亡であった。特にDBH、30cm以上の個体の死亡は森林全体のAGB増減に大きく影響するため環境変量との関係性を見出だすことが出来なかった。この結果に加え、調査期間中に死亡または新規加入した個体をデータから排除したときに森林の相対成長速度がどれほど環境変量に左右されているかを発表する。