| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-080  (Poster presentation)

逃げる虫は脚が長い~擬死行動への選抜実験による検証~
Escapers have longer legs than tonic immobilizer in a beetle

*松村健太郎, 宮竹貴久(岡山大院・環境生命)
*Kentarou MATSUMURA, Takahisa Miyatake(Okayama University)

翼の大きい個体は飛翔能力が高く、脚の長い個体は歩行能力が高い例が報告されている。このように動物の移動能力は、それを支持する外部形態と相関していることが多いため、移動能力への選択圧に対して外部形態も相関して反応することが予想される。動物の移動能力に対する選択圧の一つとして捕食圧がある。多くの陸上動物においては、被食者は捕食者と遭遇した時、逃避(移動)もしくは擬死(不動)の二者択一的な捕食回避行動を示す。この二つの戦略は「移動する」か「移動しない」かの違いであるため、生物が採択する捕食回避戦略と移動を支える外部形態は共進化するかもしれない。コクヌストモドキは、捕食回避行動として擬死か歩行による逃避を示す。本研究では、コクヌストモドキの擬死の持続時間を長く示す(擬死戦略)方向へ選抜されたL系統と、擬死を行わない(逃避戦略)方向へ選抜されたS系統を用いて、歩行移動を支える脚の長さに系統間で違いが見られるのか調べた。その結果、雌雄ともにS系統の個体はL系統の個体よりも有意に脚が長いことが明らかになった。この結果は、本種の捕食回避戦略と脚の長さは相関関係にあり、逃避戦略への選択圧によって歩行を支える脚が長くなるように変化したことを示唆している。


日本生態学会