| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-112 (Poster presentation)
林木遺伝資源の保存において種子による生息域外保存は、限られたスペースに多様な種を保存できる有効な方法のひとつである。しかし、この保存の可否に関わる種子の乾燥耐性については未だ情報が限られている。また、保存された種子は遺伝資源として活用する際に発芽させる必要があるが、多くの樹木種、特に熱帯域の樹木種では発芽条件について不明な点が多い。そこで本研究では西表島に生育する樹木種を対象に、種子の乾燥耐性と発芽特性を調べた。まず、TTC溶液を用いて種子の生存率を調べた結果、28種中2種で乾燥後に生存率が低下したことから、この2種は乾燥耐性を持たないリカルシトラント種子であると考えられた。さらに、十分に種子を採取出来た22樹種について寒天培地(テリハボクなど大型の種子は土壌)に播種し、インキュベータ内(20℃、30℃の変温条件)で発芽実験を行った。発芽数の確認は週に1度、最終の発芽から4週間後まで行った。発芽実験の結果、22樹種中17種で発芽がみられた。発芽スピードは樹種によって異なり、1か月程度で発芽が終了する樹種もあれば、数か月にわたり、少しずつ発芽する樹種もみられた。また、最終的な発芽率も多様であった。残り5樹種については6週間育成しても発芽がみられなかった。これらの未発芽種子を解剖したところ、見かけ上は健全な種子が多く含まれていたことから、種子休眠によると考えられた。これら5樹種の発芽にはなんらかの促進処理が必要であると考えられる。