| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-139 (Poster presentation)
チチブイワザクラ(Primula reinii var. rhodotricha)は埼玉県秩父市と横瀬町の境界に位置する武甲山の固有種である.武甲山(標高1304m)は,石灰岩体の山として関東地方最大の規模を有する独立峰であり,武甲山北部に賦存する石灰岩はセメントの原料になることから,大正時代より採掘が行われている.このような背景から,チブイワザクラは環境省の第4次レッドリストにおいて,絶滅危惧IA類(CR)に指定されており,早急な保全対策が望まれている.現在は採掘企業,行政により生息域外保全が行われており,遺伝的多様性の確保,自生地への植え戻しに向けて努力が図られている.本研究では,チチブイワザクラ保全の一環として,ジベレリンを使用しない種子発芽率の向上を目指し,発芽温度条件を探索した.その結果,株平均で約40%の発芽率(最低0~最高95%)を得た.今後はさらなる発芽率向上を目指し,より詳細な最適発芽温度条件を探索する.また,発芽率向上とともに,健全な実生の育成,自生地周辺の環境調査を行い,自生地への植え戻しに向けたチチブイワザクラ保全の推進を図る.