| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-157  (Poster presentation)

植物の栄養繁殖戦略-セイタカアワダチソウの地下茎から- 【B】
Vegetation propagation strategy in Goldenrod (Solidago altissima) 【B】

*Kaori SHIOJIRI, Yuto TAMAGAWA(Ryukoku Univ.)

植物の繁殖方法には種子繁殖と栄養繫殖があり、どちらに配分するのかは植物の戦略として捉えられており、多くの研究が報告がされている。同じ栄養繁殖においても、栄養繁殖体の大きさや形によってその後の成長や競争力に影響がでると考えられる。例えば、栄養繁殖体(塊茎)を形成するショウガでは、重い塊茎が最も発芽までの日数が短いことが報告されている。しかしながら、栄養繁殖体の形態と、その後の成長や他個体との競争との関係は明らかではない。
 セイタカアワダチソウ(Solidago altissima L.)は地下茎による栄養繫殖を行い、地下茎からアレロパシー作用を持つ物質(ポリアセチレン化合物)を土壌に分泌することによって、他者の成長を妨害していることが知られている。これまでの我々の研究において、本種の地下茎は、系統の違いや、地上部における処理(匂い受容)の有無により、細長いものや太短いものがあることが明らかになっている。そこで、本研究では、セイタカアワダチソウの地下茎を用いて、地下茎の形状・土壌・遺伝子型を組み合わせてポットで生育させ、「発芽率」、「発芽までの日数」、「初期成長(葉数・高さ)」、「葉の質」の観点から本種の繁殖戦略を明らかにすることを目的とした 。
 その結果、発芽率・初期成長において、太短いものと細長い地下茎の間に差は認められなかったが、発芽までの日数においては、太短い地下茎の方が短かった。また、葉の質において総フェノール量は、量地下茎で違いはなかった。
 今回の試験では、小さいポットで生育させたため、細長い地下茎がうまく成長できなかった可能性も考えられる。今後は、比較的大きなポットで生育させる必要がある。また、他種との競争においても地下茎の形状が影響するのかを明らかにするため、他個体の地下茎と植えることや他種個体を植えるなどの競争実験や、アレロパシーの分析を行い、総合的に地下茎戦略を明らかにする。


日本生態学会