| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-159  (Poster presentation)

エゾヤマザクラ当年枝個体群動態における気象条件の影響
The effect of weather conditions on the dynamics of current-year population of Cerasus sargentii

*長谷川成明(北大・低温研)
*Shigeaki F. HASEGAWA(ILTS, Hokkaido Univ.)

樹木において枝系は当年枝の繰り返しによって構成されているおり、当年枝は構造の基本単位とみなすことができる。同時に多くの樹木種で当年枝において繁殖器官の生産が行われており、当年枝は繁殖においても基本単位として機能している。
当年枝はある程度自律的に振る舞うことが知られているが、一方で当年枝の集合体レベルでの制御が行われており、これらの間のバランスが当年枝の挙動を決定していると考えられる。当年枝の獲得資源に大きく関わる気象条件が変動した時、この自律性と高次の制御の間のバランスはどのように変化するだろうか。
北海道大学札幌キャンパス内に生育するエゾヤマザクラ(Cerasus sargentii)3個体を調査対象に設定した。2010年5月に各個体から枝系1本をランダムに選択し、枝系の先端から当年枝が50本以上含まれる分岐までを対象となる当年枝として設定した。それら2010年の当年枝と、以降そこから由来する当年枝を対象に、2011年から2018年にかけて追跡調査を行なった。
当年枝個体群に対して行列モデルを用いた解析を行なった結果、気象条件が繁殖量の増減に与える影響は比較的小さく、ほとんどの変動が当年枝個体群の変化によって説明できることが明らかになった。これらの結果をもとに繁殖戦略の観点からエゾヤマザクラ当年枝個体群の動態と気象条件が与える影響について検討する。


日本生態学会