| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-183 (Poster presentation)
以下のような観察過程により得られた植生被度階級データから実際の被度を、統計モデリングにより推定することを試みた。(1) 一定面積の方形区内の植生被度を観察し、目視により階級(被度0:0, 0-0.01:1, 0.01-0.1:2, 0.1-0.25:3, 0.25-0.5:4, 0.5-0.75:5, 0.75-1:6)を判定した。(2) 方形区は複数が空間的に帯状に隣接して配置されている。(3) この観察を1〜数年おきに繰り返した。
統計モデルの構造は以下のとおりである。基本構造として、被度の時間変化を説明するため、状態空間モデルを使用した。年tにおける、目的種の存在確率のロジットをθ1t、全体的な被度のロジットを潜在状態θ2tとして、システムモデルはトレンドモデル(2階差分)とした。観測モデルでは、方形区qごとに潜在状態θ2tに空間ランダム効果rqを加え、その逆ロジットの値ptqを各方形区の実際の被度とした。このとき、ゼロ過剰と見落としも考慮するモデルとしたが、見落とし率は固定値とした。空間ランダム効果にはマルコフ場モデルを使用した。実際の被度と、観測された被度階級との関係については、正則化不完全ベータ関数を使用した。これにより、各年のθtを推定し、logit-1θ1t logit-1θ2tを、その年の平均的な被度として推定した。
模擬データを使用して、このモデルによる推定の正確さを検討し、また実際のデータとして、大雪山の洞爺丸台風風倒跡地のデータを使用して、実際の被度を推定した。パラメータ推定は、Stanを使用してMCMC法によりおこなった。