一般講演(ポスター発表) P2-259 (Poster presentation)
環境省モニタリングサイト1000沿岸域調査(磯・干潟・アマモ場・藻場)10年のまとめ
Summary report of Coastal Area Survey (Rocky shore, Tidal flats, Seagrass beds and Algal beds) on Monitoring sites 1000 project in FY2013-2017
*青木美鈴(日本国際湿地保全連合), 仲岡雅裕(北海道大学), 野田隆史(北海道大学), 本村泰三(北海道大学), 田中義幸(八戸工業大学), 阿部拓三(南三陸町), 太齋彰浩(デザイン・バル), 青木優和(東北大学), 鈴木孝男(みちのくベントス), 早川淳(東京大学), 金谷弦(国立環境研究所), 深谷肇一(国立環境研究所), 多留聖典(東邦大学), 飯島明子(神田外語大学), 村田明久(千葉県立中央博物館), 田中次郎(東京海洋大学), 白山義久(海洋研究開発機構), 山北剛久(海洋研究開発機構), 栗原健夫(水産・研究教育機構), 坂西芳彦(水産・研究教育機構), 島袋寛盛(水産・研究教育機構), 浜口昌巳(水産・研究教育機構), 堀正和(水産・研究教育機構), 吉田吾郎(水産・研究教育機構), 木村妙子(三重大学), 倉島彰(三重大学), 向井宏(海の生き物を守る会), 石田惣(大阪市立自然史博物館), 古賀庸憲(和歌山大学), 川井浩史(神戸大学), 村瀬昇(水産大学校), 逸見泰久(熊本大学), 森敬介(熊本大学), 寺田竜太(鹿児島大学), 山本智子(鹿児島大学), 岸本和雄(沖縄県), 環境省生物多様性センター(環境省)
*Misuzu AOKI(WIJ), Masahiro Nakaoka(Hokkaido Univ.), Takashi Noda(Hokkaido Univ.), Taizo Motomura(Hokkaido Univ.), Yoshiyuki Tanaka(HIT), Takuzo Abe(Minamisanriku-cho), Akihiro Dazai(Designbar), Masakazu Aoki(Tohoku Univ.), Takao Suzuki(Michinoku Benthos), Jun Hayakawa(UTokyo), Gen Kanaya(NIES), Keiichi Fukaya(NIES), Masanori Taru(Toho Univ.), Akiko Iijima(KUIS), Akihisa Murata(Chiba chuo haku), Jiro Tanaka(TUMSAT), Yoshihisa Shirayama(JAMSTEC), Takehisa Yamakita(JAMSTEC), Takeo Kurihara(FRA), Yoshihiko Sakanishi(FRA), Hiromori Shimabukuro(FRA), Masami Hamaguchi(FRA), Masakazu Hori(FRA), Goro Yoshida(FRA), Taeko Kimura(Mie Univ.), Akira Kurashima(Mie Univ.), Hiroshi Mukai(AMCo), So Ishida(OMNH), Tsunenori Koga(Wakayama Univ.), Hiroshi Kawai(Kobe Univ.), Noboru Murase(Nat. Fish. Univ.), Yasuhisa Henmi(Kumamoto Univ.), Keisuke Mori(Kumamoto Univ.), Ryuta Terada(Kagoshima Univ.), Tomoko Yamamoto(Kagoshima Univ.), Kazuo Kishimoto(Okinawa pref.), Japan Biodiversity Center of(MOE)
モニタリングサイト1000沿岸域調査は2008年から開始され、磯、アマモ場、藻場では各6サイト、干潟では8サイトの合計26サイトにて、研究者を中心とした生物のモニタリングが継続されている。調査開始から10年を迎え、100年を目標とする長期モニタリングを実施する上での基盤情報を把握することを目的とし、サイトまたは生態系ごとに生物相等の経年変化の検出などを試みた。
磯では、各サイトの解析対象種の出現頻度に関して、トレンドは検出できなかった。一方で連続測定している岩温の月最大値に関して、北海道では下降、沖縄県のサイトでは上昇するトレンドが確認された。
干潟では、底生動物の群集構造に関して、全サイトに共通する経年変動は検出されなかったが、福島県、愛知県、大分県、熊本県、沖縄県の5サイトで経年変動が検出された。
アマモ場では、各サイトにおける各年のアマモ類の平均被度を用いた解析から、全サイトに共通するトレンドは検出されなかった。しかしながら、岩手県と鹿児島県のサイトでは減少、沖縄県のサイトでは増加する傾向が確認された。
藻場では、各サイトにおける各年の林冠部植生の平均被度を用いた解析から、宮城県、静岡県、兵庫県(淡路由良)のサイトでは被度の減少、兵庫県(竹野)のサイトでは増加するトレンドが検出された。また、鹿児島県のサイトでは、林冠部植生の被度に経年変動が確認された。
さらに、全26サイトの調査結果から、東北地方太平洋沖地震後の沿岸域生態系の回復過程や、台風及び海水温による藻場への影響といった自然災害等による沿岸域生態系の応答が確認された。
このような調査データのとりまとめ及び検証を通して、沿岸域生態系における異変の検出には、長期的かつ定量的なモニタリングが極めて重要であり、継続してデータを蓄積していくことの必要性が確認された。