センダンMelia azedarachは、本州（伊豆半島以西）・四国・九州・沖縄の海岸近くに生育し、本州では公園などに植栽されている。早生樹種であり、短期間で大径木が得られることから、次世代の植栽樹種として、近年注目されている。一方、センダンは森林伐採地や堰堤堆砂敷、河川敷などの撹乱地で野生化しており、センダン植栽が今後普及した場合、植栽地からの逸出によってその侵略性が懸念される。逸出地において望ましい植生でない場合、センダンは駆除対象となる。そこで本研究では、攪乱地に逸出したセンダンに着目し、国の総合対策外来種（重点対策外来種）に指定されているニワウルシAilanthus altissimaと競合しているサイトで両種の成長経過を比較するとともに、両種の駆除を目的とした伐採後の成長経過を比較し、センダンの侵略特性を明らかにすることを試みた。
調査地は、兵庫県千種川及び円山川流域の攪乱地である。センダンとニワウルシの競合サイトに、逸出調査地2地点、伐採調査地2地点を設定し、樹高1.3 m以上のすべての幹を対象に、種名と樹高、同一株、生死の別を記録した。また、伐採後2成長期間の成長量を比較した。
攪乱地に逸出後の両種の樹高成長量は、センダンとニワウルシで有意差はみられなかったが、伐採後の萌芽成長量は、センダンがニワウルシを有意に上回っていた。以上のことから、両種の競合サイトにおける駆除目的とした伐採管理は、総合対策外来種ニワウルシよりもセンダンの現存量を増加させ、侵略性を高める可能性が示唆された。