| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-278 (Poster presentation)
植生調査資料は、調査地における植生を構成する植物の種組成や出現種のアバンダンス、植生内部の階層構造などを記録した観察情報である。そのため群集データとしてだけでなく、植物の分布データ(在・不在)として扱うことが出来る。
本研究では、兵庫県立人と自然の博物館が構築するひとはく植生資料データベース(以下、植生DB)(http://www.hitohaku.jp/musepub_col/VegetationTop.aspx)を活用し、収録資料点数の多い兵庫県における植物種の分布について、3次メッシュレベルでの生育適地予測分析を行い、兵庫県における各植物種の分布に及ぼす環境要因について検討したので報告する。なお本研究は、植生DBの活用方法を例示することも目的とした。
生育適地予測分析にはMAXENT ver.3.4.1(S. J. Phillips et al 2018)を用いた。種データは植生DBに2018年4月10日までに登録されている植生調査資料のうち、兵庫県下(3次メッシュで8096メッシュに該当)で調査され、調査地点の位置情報が3次メッシュレベルで記録されている8134地点から得られるものとし、解析対象種は80メッシュ以上で分布がみとめられた179種を対象とした。環境データには地形、地質、土壌、標高、方位、傾斜、気温、降水量など20変数を用いた。
分析によってAUCが0.8以上の結果が得られた種は104種であった。各種の生育適地予測にもっとも寄与していた環境要因としては日照(25種)、気温(18種)、降水量(14種)、最寒月の月の平均気温(10種)、標高(9種)、地質(8種)、植林率(8種)、耕作地(5種)、土壌(3種)、地形(1種)、市街地率(1種)、積雪深(1種)であった。