| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-286  (Poster presentation)

冷温帯二次林におけるリターフォールの年変動と季節変化
Seasonal and interannual litterfall dynamics of secondary forests

*廣田充(筑波大学), 林素梨(筑波大学・環境科学), 正木大祐(筑波大学・菅平)
*Mitsuru HIROTA(Univ. of Tsukuba), Suli Lin(Environ. Univ. of Tsukuba), Daisuke Masaki(MSC, Univ. of Tsukuba)

リターフォール(LF)とは、植物から脱落した葉、枝、果実等の総称である。特に森林では、LFの一部である葉や果実が森林の一次生産や種子生産の指標となるうえに、LF量が森林構成種の優占程度の指標にもなる。このような重要性から、LFに関する調査は森林の基盤調査項目となっている。多くの既存研究から、LFは季節および年々変動することが知られており、その要因として生物季節や老化などの生物的要因に加え、気温や降水量、さらには台風等の撹乱も含む物理的要因が知られている。こういったLFの時間変動パターンとその要因は、森林構造によって異なる可能性がある。しかしながら、LFの時間変動に関して森林構造の違いを考慮した研究は少ない。
本研究では、長野県菅平高原に同所的に位置する常緑針葉樹林と針葉樹と広葉樹が混在する針広混交林を対象として、2007年から行われているLFに関する調査結果を報告する。両林分は、隣接する形で同一平地上にありながら、森林が成立する以前の草原の利用形式が異なっている。そのため今日では優占種と優占種の最高樹齢が異なる林分となっている。各林分(50x50m)にリタートラップを5つ設置し、2007年から現在に至るまで(但し2014年と2015年を除く)、5月から11月まで毎月1回LFを回収し、乾燥後に優占種ごと、部位ごとに分けて乾燥重量を調べている。12月〜4月の積雪期間は、別途計測している。両林分ともに全ての年で9月か10月に最大LF量を示す季節変化がみられ、その季節変動は主に落葉によるものであった。全LF量の年々変動は両林分ともに大きく、その要因は大きな撹乱の際に発生したと思われる落枝によるものであった。葉LF量の年々変動の要因は両林分で異なっていた。


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