| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-292 (Poster presentation)
人為的な活動による土地利用の改変は自然生態系とそこに生息する生物相に大きな影響を与えてきた。近年、日本をはじめ多くの先進国では人口減少とそれに伴う耕作放棄地の増加が進行している。耕作放棄地における植生遷移メカニズムを明らかにすることは、適切な管理を導く上で不可欠な情報をもたらす。本研究では福島県会津若松地方の耕作放棄水田で植生調査を行い、植生遷移メカニズムの解明を試みた。まず、放棄年代の異なる水田で成木を対象に毎木調査を実施した。さらに各放棄水田でトランセクト調査を実施し、幼齢木の個体数を調査した。毎木調査の結果、ヤナギの仲間やヤマハンノキが放棄水田に成木とし生育していることが明らかになった。また、これら種の胸高断面積合計と幼齢木(全出現種)個体数との間には正の相関があった。すなわち、ヤナギやヤマハンノキが成長するに従い、林床には他種の樹木が定着し始めていることが示唆された。これらの中には動物散布種が多いことから、要因の一つとしヤナギ・ヤマハンノキにより種子散布の促進効果が挙げられた。