| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-298  (Poster presentation)

植食者を介した外来植物と在来植物の見かけの競争の地理的変異
Geographic variation of apparent competition via herbivory between exotic and native plants

*坂田ゆず(秋田県立大学), Timothy P Craig(Univ. Minnesota Duluth), Joanne K Itami(Univ. Minnesota Duluth)
*Yuzu SAKATA(Akita Pref. Univ.), Timothy P Craig(Univ. Minnesota Duluth), Joanne K Itami(Univ. Minnesota Duluth)

外来植物は在来植物に、資源をめぐる直接的な競争による影響だけではなく、植食者などの第三者を介した負の影響(以下見かけの競争)も与えうる。見かけの競争は植食者群集によって地理的に異なることが考えられる。
 本研究では、セイタカアワダチソウ(以下セイタカ)とセイタカと同所的に生育する在来キク科植物を材料に用いて、セイタカが植食者を介して在来キク科植物に与える影響が、1) 原産地(北米)と侵入地(日本)で異なるか、2) 外来植食者のアワダチソウグンバイの分布の有無でどのように異なるかを明らかにすることを目的とした。北米と日本において、それぞれアワダチソウグンバイの分布の有無が異なる2箇所の圃場を用いて、在来植物のみの単植の場合とセイタカと混植した場合とで、食害量と植物の成長・繁殖形質を比較した。
日本では、セイタカと混植した場合に在来植物上のアワダチソウグンバイによる食害が増加し、植食者を介した見かけの競争が検出された。2年目には、アワダチソウグンバイの未分布地においてもセイタカと混植した場合に在来植物上の食害が増加し、植食者を介した見かけの競争が検出された。また、セイタカと混植した場合に在来植物の葉数増加率や花数が減少し、さらにアワダチソウグンバイの分布地では花数の減少への程度が強まっていた。一方で、北米では、セイタカとの混植による見かけの競争は検出されなかった。
 これらのことから、侵入地においてセイタカは在来植物の繁殖に対して直接的な競争による負の影響に加えて、植食者の食害を介した見かけの競争による負の影響が見られることが明らかになった。外来植物は、在来のジェネラリスト植食者と外来植食者を惹きつけることで見かけの競争が強まるため、外来植食者の侵入によって外来植物の在来植物への負の影響が加速する可能性が示された。


日本生態学会