| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-312  (Poster presentation)

節足動物における植物ホルモン内生量の比較および植食性・ゴール形成性の進化との関連
Endogenous levels of phytohormones in arthropods and their involvements in the evolution of phytophagy and gall induction in insects

*徳田誠(佐賀大学), 鈴木義人(茨城大学), 藤田将平(佐賀大学)
*Makoto TOKUDA,(Saga University), Yoshihito Suzuki(Ibaraki University), Shohei Fujita(Saga University)

近年の研究から、様々な昆虫が体内でオーキシンを合成する能力があることが明らかになってきており、昆虫における植物ホルモン合成能の獲得とゴール形成性や植食性との関連について注目が高まっている。本研究では、クモ綱やヤスデ綱、昆虫綱を含む様々な陸生節足動物におけるオーキシン(IAA)とサイトカイニンの内生量を分析した。その結果、IAAは昆虫の様々な目の他、ダニ目、クモ目、オビヤスデ目を含め、分析したすべての分類群において確認された。一方、植物体内で活性を持つ2種類のサイトカイニンiP、tZのうち、tZあるいはその前駆物質tZRは昆虫綱においては無翅昆虫,旧翅類,多新翅類でほぼ認められず、準新翅類と完全変態昆虫でのみ、一定量以上のの内生量を持つ種が確認された。食性や高次分類群と植物ホルモン内生量の関係を比較した所、IAAでは明確な関連性は認められなかったが、サイトカイニン(特にtZ)に関しては、植食性やゴール形成性の分類群で増加する傾向が認められ、ダニ目を含め、ゴール形成性が進化している分類群では高い傾向がみられた。以上より、サイトカイニン合成能の獲得が植食性やゴール形成性の進化に関連している可能性が考えられる。


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