| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-315 (Poster presentation)
植物種子の移動分散に関わる動物は多様である。種子散布は、動物が果たす主要な生態的機能・生態系サービスのひとつであり、植物の空間移動を規定し、気候変動に対する植物の応答に対しても決定的な影響を与える。そのため、どの動物がどの種子をどのくらい運ぶのかを予測する、散布ポテンシャルのモデリングは、近年ますますその重要性を増している。
だが動物散布のプロセスは、動物による果実・種子の摂食にはじまり、個体の空間的移動を経て種子の排出にいたるという、多段階の複雑なものである。その帰結を予測するモデリングはまだはじまったばかりである。
本発表では、動物の形質をベースとした種子散布のモデリングに向けた取り組みを概観したい。特に日本列島における主要な種子散布者である鳥類に着目し、種の散布ポテンシャルの評価を得る可能性を探る。これまでの研究において鳥類の体サイズや嘴サイズといった形質データを網羅的に収集した結果、種子散布機能に関するパラメーターとこれらの形質との関連が明らかになった。これらの結果を紹介するとともに、これまでに提案されたモデリングの枠組みをレヴューし、今後の研究の方向性について議論したい。