| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-320 (Poster presentation)
果実食動物種-果実種の相互関係を理解することは、森林生態系の保全や管理のためにも基本的な情報を提供する。アジアの温帯林にはツキノワグマやサル類などの大型で、木登りが可能な果実食哺乳類が現在でも健全な状態で生息していることから、他の地域の温帯林とは異なった相互関係が存在する可能性がある。そこで本研究の目的は、日本の温帯林における4種の主要な果実食哺乳類(ツキノワグマ、ニホンザル、ホンドタヌキ、ホンドテン)が採食する果実の特性を体系的に分析することで、各種が嗜好する果実の特徴を明らかにすることである。本研究では4種の木本類の果実の採食記録、ならびに採食された果物の特徴に関する情報を収集した。確認された299種類の果実種のうち、ツキノワグマとニホンザルが採食する果実のサイズ、色、および果実タイプ(液果や乾果)は類似しており、ツキノワグマ、ニホンザル、およびホンドタヌキが採食する果実の結実時期や生活型は似ていた。しかし、ホンドテンが採食する果物の特徴は3種とは異なっていた。これらの違いは、各種の木に登る能力、体重、手先の器用さの違いなどが影響している可能性がある。