| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-330  (Poster presentation)

カナダ東部のツンドラ植生における中型土壌動物群集構造の緯度にともなう変化
Changes in community structures of soil mesofauna with latitude on the Tundora  in eastern Canada

*長谷川元洋(森林総研四国支所), 北川涼(横浜国立大学), 増本翔太(横浜国立大学), 西澤啓太(横浜国立大学), 大園享司(同志社大学), 内田雅己(国立極地研究所, 総合研究大学院大学), 森章(横浜国立大学)
*Motohiro HASEGAWA(FFPRI Shikoku), Ryo Kitagawa(Yokohama Nat. Univ.), Syota Masumoto(Yokohama Nat. Univ.), Keita Nishizawa(Yokohama Nat. Univ.), Takashi Ozono(Doshisha Univ.), Masami Uchida(Nat. Inst. Pol. Res., SOKENDAI), Akira Mori(Yokohama Nat. Univ.)

カナダ北東部の緯度の異なる3地点、クジュアラピク−ワープマゴスチュイ(KW)、サルイト、ポンド インレット周辺において、花崗岩露頭上に成立したツンドラ植生における、中型土壌動物群集の構造を比較した。サルイト、ポンド インレットはKWのおよそ800、2000 km北方にあり、それぞれの年間平均気温は、-4、-8、-15 ℃となっている。
各地点に、8及び9地点調査プロットを設定し、それぞれに、ライントランセクト (150m×10m)を設置した。ライントラセクトの長軸方向6mごとに区切り、25のコドラートを作成した。各プロットにおいて、25のコドラートについて、端から1箇所おきに13(もしくは12)箇所を選び、コドラート内部の任意の植生パッチから各1点、合計13(もしくは12)点の土壌サンプルを採取した。土壌サンプルは,土壌コア(125ml)を用いてリター層を含めて採集し、福山式簡易ツルグレン装置を用いて、72時間中型土壌動物を抽出した。
土壌動物群集はトビムシ及びダニが優占していた。総個体数は、北方に行くほど減少したが、サルイト、ポンド インレット、の差は小さかった。また、トビムシの個体数は北方ほど減少したが、土壌コアあたりの種数はKW、ポンド インレット、サルイトの順で多かった。トビムシ群集の種組成を正準対応分析(CCA)により解析したところ、地点の違いが有意に選択され、群集構造の地点間での違いを示唆した。また、トビムシ各種のtraitの加重平均を用いて、冗長分析(RDA)による解析を行った場合でも、地点の違いが選択され、地点間でのトビムシのtraitの違いが示唆された。使用したtraitのうち、体長、体型、体色、小眼数、偽小眼の有無、触角後器などで地点間の差違が認められ、最北端の地点では他の地点よりも、トビムシの体サイズが小さい事が示された。


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