| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-330 (Poster presentation)
カナダ北東部の緯度の異なる3地点、クジュアラピク−ワープマゴスチュイ(KW)、サルイト、ポンド インレット周辺において、花崗岩露頭上に成立したツンドラ植生における、中型土壌動物群集の構造を比較した。サルイト、ポンド インレットはKWのおよそ800、2000 km北方にあり、それぞれの年間平均気温は、-4、-8、-15 ℃となっている。
各地点に、8及び9地点調査プロットを設定し、それぞれに、ライントランセクト (150m×10m)を設置した。ライントラセクトの長軸方向6mごとに区切り、25のコドラートを作成した。各プロットにおいて、25のコドラートについて、端から1箇所おきに13(もしくは12)箇所を選び、コドラート内部の任意の植生パッチから各1点、合計13(もしくは12)点の土壌サンプルを採取した。土壌サンプルは,土壌コア(125ml)を用いてリター層を含めて採集し、福山式簡易ツルグレン装置を用いて、72時間中型土壌動物を抽出した。
土壌動物群集はトビムシ及びダニが優占していた。総個体数は、北方に行くほど減少したが、サルイト、ポンド インレット、の差は小さかった。また、トビムシの個体数は北方ほど減少したが、土壌コアあたりの種数はKW、ポンド インレット、サルイトの順で多かった。トビムシ群集の種組成を正準対応分析(CCA)により解析したところ、地点の違いが有意に選択され、群集構造の地点間での違いを示唆した。また、トビムシ各種のtraitの加重平均を用いて、冗長分析(RDA)による解析を行った場合でも、地点の違いが選択され、地点間でのトビムシのtraitの違いが示唆された。使用したtraitのうち、体長、体型、体色、小眼数、偽小眼の有無、触角後器などで地点間の差違が認められ、最北端の地点では他の地点よりも、トビムシの体サイズが小さい事が示された。