| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-355 (Poster presentation)
白山では1997年に地表徘徊性ゴミムシ類の垂直分布に関する調査が行われ、分布高度が種ごとに異なっていることが明らかになったが、その後の調査は行われていなかった。そこで、2014年に同様の方法で再度調査を実施し、ゴミムシ類の垂直分布と両年の分布状況の差異について検討した。調査では1997年は40種、2014年には38種、あわせて45種類のゴミムシ類が記録された。本調査で両年を通して優占していたのはクロナガオサムシLeptocarabus procelurus procelurusおよびハクサンクロナガオサムシLeptocarabus arboreus hakusanusで、1997年、2014年ともにL. procelurus procelurusが落葉広葉樹林帯から亜高山帯,L. arboreus hakusanusが亜高山帯から高山帯で記録された。2種それぞれの出現範囲について、1997年と2014年の調査間での有意差は認められず、さらに、これら以外の地表徘徊性ゴミムシ類の分布高度も、両年間で大きな違いは認められなかった。両年の調査結果からNMDSを用いて種構成を解析したところ、白山における地表徘徊性ゴミムシ類の群集構成は、落葉広葉樹林帯(800mから1,350m)、亜高山帯下部(1,450mから2,000m)、亜高山帯上部から高山帯(2,300mから2,700m)の3グループに類別できた。さらに、NMDSの結果からはL. procelurus procelurusが亜高山帯下部、L. arboreus hakusanusが亜高山帯上部から高山帯までの調査地との関連性が強いなど、高度と関連性の強い種の存在が明らかになった。一方、NMDSの結果からも年次変化の違いは認められなかった。