| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-356  (Poster presentation)

mtDNA及びゲノムワイドSNPに基づくモリアオガエルの分子系統
Phylogeny of Rhacophorus arboreus based on mtDNA and Genome-wide SNPs

*阿部晴恵(新潟大・農), 塩崎大(東邦大付属東邦中高), 廣田峻(東北大・農学研究科), 陶山佳久(東北大・農学研究科), 長谷川雅美(東邦大・理)
*Harue ABE(Niigata Univ.), Masaru Shiozaki(Toho Jur. & Snr. High Schools), Shun Hirota(Tohoku Univ.), Yoshihisa Suyama(Tohoku Univ.), Masami Hasegawa(Toho Univ.)

モリアオガエル(Rhacophorus arboreus)は、日本の固有種であり、本州および佐渡に生息している。本種は、形態や背面の模様に地理的な変異があることが知られている。東北集団は成体の背面には模様を持たず、東海集団は大型で背面に褐色の斑紋を持ち、近畿・中国集団は模様があるが東海集団より小型である、というように大きく3つに分類される(塩崎ら、未発表)。その結果、mtDNAでは①福島、②北関東・東北、③中国、④中国・近畿、⑤関東・東海のクレードに分かれた。SNPs のRAxMLによる最尤法を用いた系統樹探索では、r=0.6(2536 SNPs, 753 segregating sites)で検討した結果、mtDNAと同様に大きく5つのクレードに分かれた。mtDNAでは④⑤がまとまったクレードを推定しており、形態で異なる東海と近畿集団の分化は明確ではなかったものの、SNPs による系統樹は形態と一致するものであった。また、SNPsでは福島の幼生サンプルとシュレーゲルアオガエルが東北集団からの分化(ブートストラップ値74%)が示された。これはDNA抽出の際のコンタミネーションと予測される。


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