| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-362  (Poster presentation)

水生昆虫の食性と放射性セシウム濃度 【B】
Radiocesium activity concentration of aquatic insects and their functional feeding habit 【B】

*石井弓美子, 林誠二, 松崎慎一郎(国立環境研究所)
*Yumiko ISHII, Seiji Hayashi, Shin-ichiro S Matsuzaki(NIES)

淡水魚類の放射性セシウムは、魚の餌となる水生昆虫など食物網を通して取り込まれることが知られている。水生昆虫の137Cs濃度は水生昆虫の食性によって異なり、藻類やリターを餌とする水生昆虫で、肉食性の水生昆虫よりも高い傾向がある。しかし、水生昆虫等では消化管内容物が137Cs濃度に影響している可能性があるため、ヒゲナガカワトビケラとヘビトンボを用いた消化管内容物の排出実験を行った。その結果、消化管内容物排出前のヒゲナガの137Cs濃度はヘビトンボよりも高かった。一方で、消化管内容物を排出させたヒゲナガの137Cs濃度は、排出前より大きく低下したのに対し、ヘビトンボではほとんど137Cs濃度が変わらなかった。ヒゲナガでは消化管内容物により高い137Cs濃度を示すが体内への吸収率は低く、肉食のヘビトンボでは137Csの吸収率が高いと考えられた。このことから、食物網を通した淡水魚への放射性セシウム移行を把握するためには、各生物間の137Cs吸収効率の違いを明らかにすることが重要だと考えられる。


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