| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-413  (Poster presentation)

モンゴル草原の種多様性と生産性の関係の解明 -水利用の相補性は説明できるか-
Can complementary in water use help to explain diversity–productivity relationships in semi-arid grassland?

*吉原佑(三重大学), 龍野湧暉(三重大学), 佐々木雄大(横浜国立大学)
*Yu YOSHIHARA(mie univ.), tatsuno Yuki(mie univ.), takehiro sasaki(yokohama nati. univ.)

植物の種多様性と生産性の間にみられる正の関係は、乾燥草原においては多様性の増加による種間での相補的な水の利用によって説明できる可能性がある。そこで本研究では、多様性の増加による根圏分布の拡大の結果、土壌中の水が相補的に利用されて生産性の向上に繋がるという仮説を検証した。モンゴル草原に84個のプロットが設置されており、それぞれのプロット内の種数は1から12種類に調整されている。各プロットで植物の種数、地上部バイオマス、土壌の深さ別含水率、根の分布、土壌窒素濃度、マメ科植物の量を調査した。パス解析の結果、植物の多様性がマメ科植物の窒素固定と土壌窒素量を介して生産性に及ぼすパスは有意でなく、植物の多様性が根の重量と土壌含水率を介して生産性に影響を及ぼしていたことを発見した。今回の結果は、植物の種多様性と生産性の関係に土壌中の水の相補的利用が関与している事を提示し、これまで一般的であった土壌中の栄養塩類に着目した調査とは異なる結果を提示する事ができた。


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