| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-422 (Poster presentation)
環境条件と種間相互作用はいずれも半自然草地のメタ群集の構造を決定する要因と考えられている。しかし、これらの影響が生育地の履歴に応じてどのように異なるかを野外で調査した研究は少ない。そこで本研究では、静岡県中西部の茶草場(茶園の敷草を刈るための半自然草地)を事例として、耕作履歴の無い茶草場と棚田跡地の茶草場における種組成のパターンを比較した。
静岡県菊川市および島田市の茶草場15カ所で、2012年7月から2013年6月に調査を行った。各茶草場にコドラート(2.25 m2)を2~12個ずつ設置し、コドラート内に出現した植物、開空率および土壌条件を記録した。階層ベイズモデル作成し、出現頻度の高かった種の分布を解析した。このモデルでは、茶草場およびコドラートの2つの空間スケールを考慮した。茶草場レベルでは、茶草場の面積とランダム効果の影響を想定した。コドラートレベルでは、コドラートの環境条件による影響を想定した。モデルの説明変数で説明できない残差に、種間の相関を想定した。
土壌条件は、茶草場間、茶草場内のコドラート間で異なった。土壌条件と草種の出現確率の関係は、解析したいずれの草種もパラメータの95%信用区間に0が含まれていた。これは、耕作履歴の無い茶草場、棚田跡地の茶草場とも同様であった。残差の相関は概して弱く、この調査地では種間相互作用は種組成に強い影響を及ぼしていない可能性が考えられた。